奈良の素敵なところ

 先日、とは言っても2月17日のことになりますが、
 「奈良に“こんなとこ“あったのか?」という所がありました。
 奈良県庁の傍、東大寺の裏にある「依水園」です。
 この日は土曜日。朝11時ごろに着いたのですが、人が誰もいませんでした。(私たちは、数名の男ばかり)。だから余計静かなのか、本当にしんみりと、まるで空気が止まったような素敵な時間を感じることができます。そして開けてくる景色は、心を癒してくれます。「ここには何時間居ても良いな」と感じながら、本当は座ってながめていたい気持ちで庭園内を歩きました。

 庭園内には「三秀亭」という建物があり、お食事処「三秀」があります。この庭園を眺めながら、食事が取れるのがまた最高にいいです。お昼時になりましたので、「三秀」に入り私たちは全員「麦めしとろろ」を注文しました。庭の景色をおかずにしながら、素朴なとろろ汁と麦ご飯を、噛み締めるように味わいました。食べるものと食べる雰囲気が、マッチしている時は、本当においしいですよね。食事も終わって、建物をじっくり見ていると、周囲から「もう、リフォームしようとしているな。」なんて冗談交じりに言われて。
 「三秀」を出る頃には、外国人の20代後半のカップルが入れ替わり入っていきました。「『三秀』+『依水園の景色』で食べる食事を、外国の方はどのように感じるのだろうか?日本人のわび・さびを外国人も同じように感じるのかな?聞いてみたいな。」と思いながら、依水園を後にしました。
 「依水園」は明治期を代表する庭として、昭和50年に国の名称指定を受け、総面積約4千坪におよぶ奈良市唯一の池泉回遊式庭園です。前園と後園からできており、創始を全く異にする二つの回遊式庭園を組み合わせたものとなっています。
 あまり大きな声でおすすめしたくないほど、しっとりとした素敵な場所でした。普段はどれくらいの人が訪れているのかわかりませんが、私たちが居る時は数えるほどでした。
 奈良に生まれて奈良で育って42年、東大寺にも小学校の時の遠足で行った1回だけでしょうか。振り返ってみれば、そんなところが多いかもしれません。奈良には沢山観光地として、見るところがあるのに。逆に、こんなに身近に素敵な場所があれば気軽に足を運べます。これって幸せですよね。
阪本 兼行