設計部 勉強会2

 関西インテリアプランナー協会主催の千利休復元茶室 朝雲庵 見学会。
 講師は、京都工芸繊維大学名誉教授の中村 昌生先生。和風建築・茶室建築の研究と創作を長年されている。茶室研究の第一人者。
 講義の内容。朝雲庵とは、利休が作った大阪屋敷の「御成りの茶室」を中村先生監修のもとに復元した茶室のこと。場所は、堺市堺区北三国ヶ丘にある。
 復元するにあたり、利休の弟子であった山上 宗二の伝書にある利休大坂三畳台目茶室の間取り図や、当時の茶会に招かれ利休にもてなしを受けた神屋(神谷!?) 宗湛の「宗湛日記」天正十五年正月十二日条の茶会記などを、有力な資料として参考にされたとのこと。数少ない資料にも関わらず“台目構え”が現代に復元されたのも、当時の建築手法や歴史を熟知されている中村先生だからこそと思いました。
 そもそも、利休が生涯追求した「侘び」の精神。それが“台目構え”という茶室の型になって現われたとのことで、この朝雲庵の深三畳台目の茶室も、その侘びの精神が随所に表現されています。
 例えば、“台目構え”の由来にもなっている台目という畳の大きさ。これは当時の高級志向の茶室で使われていた台子という畳の長さの四分の一を切り捨てた大きさで、言わば略式の茶=侘びの茶を表現するのだそうです。
 また、大きな特徴として上座と下座があること。

 上座には床の間を造り、下座には点前が目立たないよう袖壁を配置。これは、もてなした客に対する亭主の謙虚な気持ちを表現し、天下人 豊臣 秀吉が来ることを想定して造られたのではとのことでした。

 また、客前に茶道具を持って行き、もてなすのが茶道の原則にも関わらず、利休は下座で準備してから客前に運ぶという“もてなし”の型を造ったとのこと。
これらから、もてなす客を思いやる気持ちが、表情に表れ、態度に表れ、作法になって現われ、型になって現われるのだと感じました。実際、茶室の中に入らせていただいて畳の上に座ると、低い天井の圧迫感も気にならず、むしろ安定感が生まれるような、とても心地の良い気分になれましたし、障子からこぼれる光があっても薄暗い室内は、気持ちを落ち着かせてくれるようでもありました。従来の型にとらわれない“もてなし”の型を造った利休の建築家デザイナーとしての考えに刺激を受けた一日でした。
設計部 T