作家 森村 桂さん

以前このコラムでニューカレドニアの話をさせていただきましたが、今回はそのニューカレドニアに行くきっかけとなった「天国に一番近い島」の著者である森村桂さんのことについて紹介します。
 森村さんは奇しくも私の母と同い年(S15年生まれ)。森村さんの本を読むと当時の様子
が伺え、(例えば、26歳でオールドミスなど・・・)母も若いころはこのように過ごして
いたのだろうかと苦笑してしまいます。
 森村さんは自身の体験をもとに書かれる作品が多く、その生き生きとした表現が
なんといっても魅力。「夢見る乙女がそのまま大人になった」という表現がぴったりでしょうか。
  国内外の旅行記や、また結婚について書かれたものが多く、当時女性に圧倒的な支持をうけ大ベストセラーになったそうです。本屋さんに行くと川端康成と森村桂が平積みにされていたとか。
 森村さんの代表作「天国に一番近い島」を紹介しますと、今は亡き父が幼少のころに話してくれた「天国に一番近い島」に違いないと単身ニューカレドニアに渡ります。理想と現実は違い島全体が鉱山の赤茶けた土、原住民の日常は怠惰でだらしないし、商社から派遣されて来た人々は利権の奪い合い、また思いもよらない困難が次々と押し寄せますが、持ち前の明るさで乗り越え最終的には本当にこの島が天国に一番近い島だと想いを抱きながら旅を終えます。
 年配の方々には懐かしく、若い方々にも楽しみ、感動していただける内容ですのでぜひ一度読んでみてください。私も20代のころ夢中になり森村さんの著書をほとんど読みつくしました。小さなお子様をお持ちのご夫婦には「ゴンにもらった首飾り」がおすすめです。ただ今ではほとんど廃刊になっているので図書館または古本屋さんでしか手に入らないかもしれません。
 また森村さんは1985年頃から軽井沢に「アリスの丘」ティールームを開きケーキ作りに専念されます。皇后様とご学友で雅子妃ご成婚の時にお祝いのケーキを焼いたそうです。
 残念ながら2004年9月に自ら命を絶ち永眠されましたが、「夢、ファイト、誠意この3つがあればどんな夢も叶う。」を信条に明朗   
 活発で行動派だった森村さんはいつまでも少女の心のままに  
 人生を終えられたような気がします。
                              橿原本店店長 瓜阪 八生樹