[見学会]

小春日和の1日、設計部のメンバーで安堵町周辺を見学散策してまいりました。
まずは環濠屋敷として切手にもなっている重要文化財の「中家住宅」を見学させていただきました。*環濠屋敷というのは回りに濠(おほりのこと)があるお屋敷です。
(中家住宅の特徴は武家から帰農されたため、武家と農家の両方の特徴をもっていることです。ちなみにこちらの住所にもなっている窪田が中氏の旧名で足利尊氏ゆかりのお武家さまです。今もその子孫が住んでおられ、今回奥様に案内していただきました。)
茅葺と瓦葺両方の趣のある屋根(大和棟)に出迎えられ、中に入りますと土間には立派なかまどが!(国内でも最大級だとか・・昨年30年ぶりに修復されたばかり)
奥様はそこで昨日たけのこを炊かれたとか・・そちらも私には気になります。。。
横には勘定部屋や女中部屋などもあり、その昔の風景を想像させます。
お部屋に上がらせていただくと、目に入るのは大きな鴨居。
当初は入口のところにも大きな桜の鴨居があったそうですが、修復時に取り替えられてしまったそうです。
文化財指定にあたり修復時ずいぶん手を加えられてしまったとかで、1659年から約350年の歴史変遷を思わせる面白い部分、すばらしい部分が変えられてしまったことが残念です。
最近の修復ではそのようなことはなくなったそうですが。もったいないことです。
奥に進むと、修復前隠し扉があったという床の間、今で言うサウナの蒸し風呂(刀置きもありましたよ!)、昔の形のトイレ、座敷に面してその昔舟遊びをされた舟寄せなど、大変趣のある風情。ここになんと200年前と400年前の梅干が展示されていました。
昔、保存食としての梅干がいったいいつまで持つものなのかと思われた当主が始め、代々受け継ぎ今でも保存されているそうで、すっかり乾燥しているがまだ食べることもできるそうです。TVでも紹介されたとか・・。(食べてみたいような怖いような・・・。)
階段を上がりますと、位の高い方用のお座敷で、狩野派の流れをくむ襖絵、鳴き床になっている縁側など見所たっぷり。貝あわせや螺鈿の机なども飾ってありましたよ。
2畳ほどのお茶室もあり、入口の板戸にはかわせみのような鳥の絵が描かれていました。
修復時お子様だった奥様はそこでお勉強されていたとか。。
小雨が降ってきて、懐かしい木の雨戸を閉めさせていただき、今度は外へ出て中庭から眺めさせていただきました。
水害対策などのため、土地を傾斜にし、高いところに倉庫を置き、集落の荷を預かったりもされていたようです。その様な時にはあの大きなかまども炊き出しなどで大活躍。大和川が近いため、氾濫などがあったんですね。
水害の際に家族が住む高床の屋敷もあったそうですが、奥様が子供のころに突然崩壊してしまったとか。
その後、中家のお寺も見学させていただくことができました。
-外出前のお忙しい時間にわざわざ鍵を開けにきてくださった奥様、ありがとうございました。-
移動式のかまどや座式の流しなど珍しいものも拝見することができました。

すっかりお昼もすぎ、お腹の虫がなきはじめましたので、近くの天然酵母パンが有名な「樸木(あらき)」というお店に伺いました。
こじんまりとした店内はたくさんの絵本に囲まれたアート空間。
体によさそうなパンやお菓子がならんでいます。
たくさんのパンやスープに舌鼓を打った後、全員しっかりと買って帰りました。
・・いちじくのベーグルが好きなのよね。うふふ・・
幸せ気分で、今度は歴史民俗資料館と富本憲吉記念館を見学しました。
「歴史民族資料館」は江戸時代後期の旧今村邸(庄屋さん)で、たくさんの昔の道具たちが展示されておりました。(小中学校の社会科の教科書の中を歩いてるみたいです。ここにもかまどがありました。レンガや金属の蓋などちょっと洋風?)
安堵町伝統産業の灯心引きについての展示もあり、GWには催し物もされるようで、子供連れで遊びに来るのも楽しそうですね。
こちらでは、お花見に間に合わなかった私たちを庭の枝垂桜が慰めてくれました。
そんな古木ではないのに、とても大きくて立派でしたよ。
「富本憲吉記念館」は人間国宝の陶芸家富本憲吉氏の生家(大和民家様式)跡にあります。
入ってすぐたくさんの石像にびっくりしました!
ちょっと中国唐の雰囲気?羊の石像まで!(猿石を思い出してしまって・・汗)
お蔵の中が展示室になっていて、富元氏が住んでいた場所によって時代分けされておりました。
最初は大和時代(大和に住んでいた時代ってことですよ。)、楽焼~白磁、染付け・・素朴で味のあるどこか懐かしいものが多かったです。
(って、私はあんまり陶磁器に詳しくないので、素人の感想でごめんなさい)
それから東京時代、つるんとしたきれいな白磁や模様などがずいぶんハイカラな感じになった気がしました。
色味も鮮やかなものが多くなった気がしましたし。
そして最後に京都時代、金銀彩の豪華なそれでいて嫌味のないものが多く見られました。
時代は不明ですが、とっても小さな陶器の印鑑や飾りなどもあり、また普段使いの器もたくさん作られていて、いわゆる芸術家肌というよりも、楽しみながら作陶されていた雰囲気が伝わりました。
受付棟はベンガラ塗りされた柱など趣があり、たくさんの陶器と不思議な感覚でした。
そんな中、憲吉氏が愛した離れはとっても落ち着く空間でした。
そうそう、ここにもかまどがありました。
黄色くぬられたかまどはどこか外国チックなかわいいもので、かまどのイメージがかわりました。
行かれたらぜひチェックしてみてください。
・・・なんかいろんなかまどを見た1日でした。(笑)
フラン 設計 南